影の騎士真珠の姫

ユング進学を取り入れた新しい異世界恋愛ファンタジー。人と違った能力を持つ姫が惑いつつ騎士の力強い支えによって自分を見つめて受けれていく物語。もちろん、恋愛もあり。

影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 最終話

春になった。    アムネシア国ほどではないが春を告げる花が咲き誇っている。  フィーネペルルは毎日城の入り口で想い人を待ち続けた。 「フィーネ。また、こんな所に。婚礼の準備話終わらないわよ。エルフィもエルマもあなたの散歩を待ってるわよ」 ...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十九話 戦の終わりに

体が硬直して動けない。剣が振り下ろされようとしていた。反射的に目をつむる。だが、剣は降りて来なかった。そのかわりばさり、と大きなものが近くで倒れる気配がした。そっと目を開ける。ヴァルターが一刀両断していた。 「フィーネ。姉上と部屋の端に言っ...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十八話 ゾフィーを追って

「しっかり馬のたてがみにつかまっておくんだ!」  馬を走らせながらヴァルターは言う。フィーネペルルは必死になってたてがみをつかむ。乗り慣れない馬だが、旅で相当慣れた。一気に近くで幕を張っていたレガシア帝国の本陣に駆け込む。正面突破だ。矢が降...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十七話 狙われたゾフィー

「早く、こちらへ!」 「お母様!」  細くひんやりとした地下道に行く。王族だけが使う避難路だ。 「ゾフィーなのね。あなたが」 「はい。でも、私はする仕事が……」  戸惑うゾフィにフィーネペルルが抱きつく。 「あなたを狙って来たの。いないとな...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十六話ゾフィーの記憶

「姉上!」 「マリア!」  二人でカタリーナの部屋の方に急ぐ。 「はい?」  のほほん、とマリアは仕事をしていた。 「いいからこっちへ」  乱暴な言葉になりながらマリアをカタリーナの部屋に連れて行くフィーネペルルである。嫌な予感が的中する前...
影の騎士真珠の姫

第二十五話 帰国の喜び

帰りの道はあっという間だった。体調が万全でないフィーネペルルを思ってヴァルターとライアンは最短距離で移動したのだ。 「こんな近道があるなら、どうして最初から使わなかったの?」  フィーネペルルが不機嫌そうに言う。まるでまた少女に戻ったようだ...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十四話 死と再生の奇跡

ミスティック・ローズの毒はすでにフィーネペルルの全身に回っていた。それでも中和剤を飲ませると少し唇の色が回復していた。あとは本人の意思だけ、と言われたヴァルターは何日もフィーネペルルの側に座って手を握っていた。 「どうして、君はそこまでして...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十三話 ミスティック・ローズの試練

翌日、国王の代わりとなる貴族の男性が、フィーネペルル達をエーデンローズの聖域へと案内する。  目の前には鮮やかな花と水晶が点在する聖域があった。隣に神殿らしき建物がある。あまりにも美しい景色にフィーネペルル達は息をのんだ。 「ここからはあの...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十一話 愛の贈り物

何日かは街の宿屋に泊まれた。カタリーナとはしゃいで隣の部屋にいたヴァルター達に壁から叱られた事もあった。フィーネペルルとカタリーナはこの自由な旅が面白かった。城での堅苦しい行儀作法もここでは逆効果。素の女性として振る舞えた。いや、幼くなって...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十話 旅立ち

「では、この親書をアムネシアの国王に」 「ありがとうございます。お父様」  フィーネペルルは丁寧に手紙を受け取った。それから父が何かを言おうとしたその矢先、封じるように言う。 「大丈夫ですわ。信じてください」  強い口調の娘に父はもう何も言...
PAGE TOP