氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子

氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子 第一話 飛翔の魔法、フェリシア

かしゃかしゃ。  窓をひっかく音にレオポルトは聞いた。窓を開ける。猫、がいた。  にゃーん、と声を上げる。首輪に何か結びついている。 「お入り。ミルクをあげるから」  そう言って体をずらすと猫は、すらり、と部屋に入る。そしてお行儀良くお座り...
絆の騎士知恵の姫

【先行公開】絆の騎士知恵の姫 第六話 影の側に……。

沐浴場から出てきたフィーネペルルを見たヴァルターは何かが違う事に気づく。だが、具体的にはわからない。ただ、昔のように自分の影を心底嫌がっていたフィーネペルルとはまた違った。 「フィーネ」  心配げにヴァルターが名を呼ぶ。 「大丈夫よ。万事う...
絆の騎士知恵の姫

【先行公開】絆の騎士知恵の姫 第五話 再び戻る影

「これが、エレシアの聖堂……」  息をのむ美しさに立ち止まっているとまた手を引っ張られる。 「沐浴場はこちらです」 「そうなの? アヴリルはよく知ってるのね」  可愛らしい声にいつか自分が子を持つとこんな子が側にいてくれるのだろうか、とフィ...
絆の騎士知恵の姫

【先行公開:連載小説】絆の騎士知恵の姫 第四話ミズツチの女賢者と幼女

獣道のような険しい道をこなすと、目の前に古代王国の首都の名残の遺跡群があった。 「ここがミズツチ……」  古代王国の果てを表した遺跡群のずっと先に、遠くからでも光り輝くようなエレシアの聖堂が見えていた。 「あれが、エレシアの聖堂……」  疲...
花屋elfeeLPia

【最新話】花屋elfeeLPia 恋をしませんか? 最終話 モンステラの物語

モンステラの物語  ここに一軒の小さな花屋がある。花屋elfeeLPia。妖精のいる場所という造語だ。しかし、この店には本当に花の妖精がいる。それを知っているのは店主一樹とその妻、萌衣、とアルバイト店員向日葵とその他幾人かの常連客だけである...
絆の騎士知恵の姫

【先行公開:連載小説】絆の騎士知恵の姫 第三話 巡礼の道

「この山を越えるの?」  フィーネペルルは目の前にでーんと構えている山を見上げて言う。 「『エレシアの聖堂』への道のりは巡礼とされていたんだ。聖なる山を越え、険しい道を歩いてたどりいた者だけに近づくことのできる聖域だったんだ。帰るかい? フ...
絆の騎士知恵の姫

【先行公開:連載小説】絆の騎士知恵の姫 第二話 ちょっとそこまでがちょっとそこまで、ではなかった件

「で、どこに行くのか解っているのか?」 「ここよ。エレシアの聖堂。古代王国の元首都にあるって。この国の中心にあるって聞いているけれど……」  地図を見てはぁー、とため息をつくヴァルターである。そこへカタリーナとライアン従姉妹夫婦が通りかかっ...
絆の騎士知恵の姫

【先行公開】絆の騎士知恵の姫 第一話 ちょっとそこまで

ゾフィーとヴァルターはエルフルア王国で暮らすことを決めた。ヴァルターは女王となるフィーネペルルの夫となりこの国を共に治め、ヴァルトが来るきっかけとなったゾフィーも王族の資格を受け、この国の騎士と結婚して終の棲家とすることとなっていた。そんな...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 最終話

春になった。    アムネシア国ほどではないが春を告げる花が咲き誇っている。  フィーネペルルは毎日城の入り口で想い人を待ち続けた。 「フィーネ。また、こんな所に。婚礼の準備話終わらないわよ。エルフィもエルマもあなたの散歩を待ってるわよ」 ...
影の騎士真珠の姫

影の騎士真珠の姫 第二十九話 戦の終わりに

体が硬直して動けない。剣が振り下ろされようとしていた。反射的に目をつむる。だが、剣は降りて来なかった。そのかわりばさり、と大きなものが近くで倒れる気配がした。そっと目を開ける。ヴァルターが一刀両断していた。 「フィーネ。姉上と部屋の端に言っ...
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